令和6年5月21日 研究誌「立飛総研リポート」第9号(Vol.9)刊行
2024.05.22
「特定小型」電動モビリティ・シェアサービスの利用ニーズ調査を実施
電動キックボードの利用意向は20%強、専用走行空間の整備拡大求める声も半数近く
一般社団法人立飛総合研究所(東京都立川市)はこのほど、研究誌「立飛総研リポート」第9号(Vol.9)を刊行しました。今号の調査テーマは「小型電動モビリティの利用ニーズ」です。2023年7月の改正道路交通法施行により、16歳以上であれば、運転免許証がなくても最高時速20km以下など一定の要件を備えた電動キックボードなど小型電動モビリティは「特定小型原動機付自転車」という新たな車両区分により乗れるようになったことから、調査では電動キックボードを中心に「特定小型原付」のシェアリングサービスの利用ニーズや課題を探りました。
その結果、改正道交法施行から3カ月以内に電動キックボードのシェアリングサービスを利用した人は全回答者の4%強でしたが、今後同サービスを使いたいという利用意向者は20%強と、施行前の利用を含めた利用経験者の約4倍に上りました。この利用意向でもクルマやバイクなど従来型モビリティの利用歴が大きく左右しており、クルマと原付バイクの双方を月に1度以上運転する人に限ると利用意向者は7割近くを占めました。最高時速6km以下に速度制御できる電動キックボードの場合、「自転車通行可」の表示がある歩道を走行できるようになりましたが、施行後3カ月の間にシェアリングサービスを利用した人では5割強がこの表示のある歩道を走行したと回答。シェアリングの利用意向がある人でも「安全担保」を条件に歩道走行したいとの回答が6割弱を占めました。また、立ち乗り型の小型電動3輪がシェアリングサービスの対象になった場合の利用意向は約27%で、電動キックボードの利用意向を5ポイント強上回りました。今後、小型電動モビリティの利用ニーズのすそ野を広げていくには電動3輪のように安定感があり、中高年層を含め多くの世代が乗りやすい車両が必要ですが、潜在ニーズ獲得のための本道として自転車レーンなど専用走行空間の整備拡大を求める声も半数近くありました。
本調査に併せてシェアリングサービスを中心とする4事業者のトップに現状や課題を聞いた「特別インタビュー」も掲載しています。興味深い発言が多く参考になります。小型電動モビリティのシェアリングサービスは、ラストワンマイルなどの近距離移動手段として注目されていますが、過渡期の移動手段で終わるのか、あるいは進化するのか、今後の動向を引き続き注視する必要があるでしょう。
今号はこのほか、専用走行空間など自転車インフラの整備拡大をテコに新たな都市改造に大胆に取り組むフランスのパリ、ボルドーの2都市の取り組みを現地に追った「海外報告」も目玉です。今後の日本の都市が進むべき方向を考える際に参考になると考えます。
なお、調査結果を含め「立飛総研リポート」の全文はWebサイト(下記参照)でもご覧になられます。
■本件に関するお問い合わせ先
一般社団法人 立飛総合研究所(東京都立川市泉町935番地27 214号棟)
担当:理事 事務局長兼統括研究主幹 市川 嘉一
TEL:042-538-7200 (不在時は携帯TEL:090-2540-1850)
E-mail: kaichi.ichikawa@tachihi.com
URL: https://tachihi-souken.com